0.6 RICE BRAN OIL

TOPICS

コラム

教えて!吉川教授!

Posted on 2019年4月19日

国民の健康に一役立てる素材として「脱脂米糠」の可能性を探求している神戸女子大学健康福祉学部健康スポーツ栄養学科吉川豊教授に聞きました。

 

 

神戸女子大学 教授
吉川 豊(博士(理学))

よしかわ・ゆたか
1996年岡山大学薬学部卒業。2001年大阪市立大学大学院理学研究科 後期博士課程修了。2004年から2013年にかけて京都薬科大学助手・助教・講師(代謝分析学分野)。
2012年から神戸女子大学健康福祉学部教授(食品機能分析学研究室)を務めるとともに、2016年から神戸女子大学大学院 健康栄養学研究科長を兼務。専門は生物無機化学、食品分析学、代謝分析学。

 


 

私が現在所属している神戸女子大学健康福祉学部健康スポーツ栄養学科では、スポーツを行っている時に必要な栄養素をいかに効率よく摂取させるか、また、スポーツによる疲労やスポーツ独自の疾患からいかに早く回復させるか、という観点からの研究が盛んです。これらの問いに対する答えとして、ビタミンやミネラルの積極的な摂取が一つのキーを握るのではないかと考えています。例えば、ビタミンB1は糖代謝を高める栄養素で、トレーニングなどでエネルギーを多く消費する人には大変重要な成分ですし、ビタミンB6はタンパク質代謝に必須の栄養素であり、タンパク質を効率良く体内で利用していく上で、とても重要なものとなります。そして、鉄欠乏性貧血の予防には、鉄や銅の積極的な摂取が望まれています。

 

しかし、近年の国民健康・栄養調査などの集計によると、日本人は、多くのビタミン・ミネラルが摂取推奨量や所要量を満たしていないと報告されています(表1)。
日常の食品群を見渡しても、ビタミンとミネラルを両方とも多く含む素材は意外と少なく、一部の例外を除いて、ビタミンは多いがミネラルは少ない、もしくはミネラルは多いがビタミンは少ない、という食品が多いのが現状です。

 

 

例えば赤ピーマンやイチゴはビタミンCが多い食材ですが、ミネラルは総じて含有量が少ないです。肉類はビタミンとミネラルが多い食材ですが、毎日100 g以上食べるのは厳しいものがあります。一緒に摂取することになる糖質や脂質も気になりますね。そこで、不足した栄養を補おうとサプリメントを利用する人は多くいらっしゃると思います。
しかし、自然の食品にはポリフェノールに代表されるような、微量の栄養素が多く含まれています。この微量の栄養素はその食品特有の成分である場合が多いため、可能な限り自然由来の食品から栄養を取り入れることが重要であるとの考えもあります。

 

脱脂米糠は、ビタミンB1、B6、パントテン酸、ナイアシン、マグネシウム、鉄が高含有されており、さらに「ガンマ-オリザノール」という米特有のポリフェノールも含まれています。多くのビタミン・ミネラルがバランス良く含まれており、手軽に摂取できる素材が身近にあることは、健康を考える上で重要であり、この脱脂米ぬかはその要素を十分に満たしていると思われます。
また、脱脂米糠に豊富に含まれるパントテン酸、ビオチン、ナイアシンは皮膚の健康維持に関与することが分かっている栄養素であり、皮膚の状態に敏感な女性にとっても有効な食材だとも言えます。

 

 

 

 

 

 

ただ、脱脂米糠のみを毎日食べるというのは、なかなか億劫なものかと思うので、脱脂米糠を上手に使う調理方法などを研究することが、これからますます必要となってくるかもしれません。

 

私は大学4年生の卒業研究のときに、鉄とヒスチジンの錯化合物の研究を始めてから、現在に至るまでミネラルと有機物との複合体である「メタルコンプレックス」の研究をしてまいりました。特に亜鉛を利用した研究を積極的に行っており、生活習慣病の予防や治療に応用できないかと考えています。また、天然物由来の素材として、果実類のパパイアと亜鉛を特殊技術で組合せた天然由来のサプリメントなどの開発も行っていましたが、この脱脂米糠には非常に多くの亜鉛(8.13 mg/100g)も含まれているので、これからこの素材を用いて亜鉛の有効利用という観点からの研究をしてみたいとも感じています。

 

お米の産地によって味や旨味が異なるように、脱脂米糠にも産地によってそれぞれ個性的な味や香りがあります。上手な組合せをすることで、無限の広がりを見せる可能性のあるこの素材が、国民の健康に一役立てる素材として利用されることを願っています。

< TOPICSトップに戻る